sports » Page 15 of 141

　サッカー、ラグビー、アメリカンフットボール（相撲）、野球、バスケット、アイスホッケーなど（と）、数多くの競技選手を診てきたが、中でもラグビー選手と関わりが深い。
　「最初はルールも知らなかったけれど、逆にそれで客観的な診断ができる部分（こと）もある。今では練習を手伝っていて、選手から『パスがうまい』って褒められるくらいになりましたよ」と笑うその人柄もあって、さまざまな人脈を頼ってチームドクター要請が舞い込んでくる。
平日は病院で診療をして、土日は提携するチームに帯同する。遠征も多く、本当の意味での「休日」はここ数年１日もない。
　　　　　◇
　そんな福田医師のもとを訪れるサラリーマン患者で、最近増えているのがサッカーをやっていての怪我。特に人工芝のグラウンドでのアクシデントが目に付くという。
　「シューズの性能が向上する反面、人工芝によく噛んでしまう。それで足首やひざを悪くするケースが後を絶たない」
　道具の性能に人間がついていけていない証拠だ。
ゴルフによる腰痛もサラリーマンに目立つが、福田医師によれば、これは順序が逆だという。
　「ゴルフで腰が悪くなるのではなく、腰の悪い人がゴルフをやるから悪化するんです。『最近腰が痛いんだけど、ゴルフでもやればよくなるだろう』などと都合よく考えたりするから、大変なことになるんです。きちんと治してからやるべきです」
　冒頭でも述べたが、ここがプロと素人の差だ。それで生活をしているプロ選手が少しの異変でも医師に診てもらうのに、一般人が強行出場していいことがあるはずがない。たとえ健康のためとはいえ、身の丈に合った取り組みをしなければ逆効果なのだ。
福田医師にお世話になる前に、自分の力量をよく考えることが大切なのだ。
（医療ジャーナリスト・長田昭二）

【プロフィル】
ふくだ・じゅん
１９６３年東京生まれ。89年信州大医学部卒業後、横浜市大病院、町田市民病院、神奈川県総合リハビリテーションセンター、横浜市立港湾病院、日本体育協会スポーツ診療所、横浜市スポーツ医科学センターなどを経て98年より現職。早大ラグビー部、横浜フリューゲルス、ラグビー日本代表チームの元チームドクター。現在リコーラグビー部と帝京大ラグビー部のチームドクター、早大ラグビー部メディカルアドバイザー、日本オリンピック委員会（JOC）強化スタッフ、日本整形外科学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター。専門はスポーツ整形外科，特に，肩・肘・膝・足関節の関節鏡手術。

■ 病院情報
藤沢湘南台病院　（財団法人　同友会）
神奈川県藤沢市高倉２３４５（小田急江ノ島「長後」徒歩10分）電話０４６６・４４・１４５１。昭和７年に設立以降、地域に根ざした医療提供を展開。特に近年は訪問看護ステーションや居宅介護支援センター、また福田医師が常勤する健康増進施設「ライフメディカルフィットネス」を開設するなど、医療内容の充実を果たしている。病床数３０３床。